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フランス語の「性」ー 補足3

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フランス語の単語で、職業を表すものの多くは「男性/女性」で違いが出ます。「女性形」に関しては、フランスよりは、ベルギー、スイス、特にカナダのケベックで「男性形/女性形」の使い分けが進んでいるようです。「男女平等」のためですが、フランス語の単語は、そう簡単にはいかない所があります。

例えば、
le musicien / la musicienne (音楽家)
/my-zi-sjĕ/ - /my-zi-siɛn/
le boulanger / la boulangère (パン屋)
/bu-lã-ʒe/ - /bu-lã-ʒɛr/
le chanteur / la chanteuse (歌手)
/ʃã-tœr/ - /ʃã-tœz/

これに対して、職業なのに「男性形」しかないものがあります。
le médecin (医者)
/med-sĕ/
l'écrivain (物書き)
/e-kri-vĕ/
le professeur (先生/教授)
/pro-fe-sœr/
le maire (市長)
/mɛr/

la médecine /med-sin/ となると「医学」という意味になるので、この女性形はこれからもないでしょう。女性という事をはっきりさせるときは、la femme médecin を使うこともあります。

l'écrivaine /e-kri-vɛn/ と「女性形」で使う人もいますが、これはまだまだ問題がありそうです。

le prof / la prof と省略した形では一般的に受け入れられています。

市長が女性の場合で、呼びかける時は、Madame le maire を使います。

カナダでは la professeure と e をつけて「女性化」します。同じように un auteur (作家)も une auteure になります。フランスでも使う人はいますが、まだまだ少数です。

「女性形」が新しく作られたものがあります。
le sénateur / la sénatrice (元老院議員)
/se-na-tœr/ - /se-na-tris/

「男性形」しかなかったものが、「男女同形」になったものもあります。
le ministre / la ministre (大臣)
/mi-nistr/

ちょっと前迄は、女性大臣に呼びかける時、Madame le ministre でしたが、今では Madame la ministre で通用します。

さて、フランス語の中には「職業」ではないのですが、人に使われる単語で「男性」「女性」のどちらかでしか使われないものがあります。

男性名詞
le témoin (証人)
/te-mwĕ/
un hotage (人質)
/o-tɑʒ/

女性名詞
la personne (人)
/pɛr-son/
la victime (犠牲者)
/vik-tim/
la vedette (スター)
/və-dɛt/
la star (スター)
/star/

男の人なのに la victime、女の人なのに le témoin。これは「男女平等論者」にも手が出せません。これは「職業」ではなく「役割」なのです。

面白い例に、「美女と野獣」があります。フランス語では、La Belle et la Bête となり、どちらも「女性名詞」です。la bête de scène という表現もありますが,これは「熱いコンサート」をする歌手のことを指して使いますが、男性歌手にも女性歌手にも使います。
by nsato75 | 2009-06-05 08:40 | 文法編
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