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「単数」と「複数」は、「1つ」と「たくさん」なのか? ー その1

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6月7日 修正
6月5日 修正

名詞の「男性/女性」が、実は、「単に文法上の区分が、たまたま生物学上の性と一致」するだけということを書きました。「単数/複数」の概念に関しても同じ事が言えます。

フランス語の「性」は、「二者択一」ですが、「男性」が「基本」で、「女性」が「特別」と考えるほうがよさそうです。

さて、フランス語文法の「数」ですが、ちょっと違います。しかし、実際に「数える数」があって、それと「一部、重ねて」見ている点は似ています。

まず、フランス語には、ものを数える時に使われる「数詞」があります。(余談ですが、「女性名詞」を1から声に出して数えるときは、un, deux, trois... ではなくて une, deux, trois... になりますので,注意してください。 何気ない事ですが、フランス語の言語感覚が身に付いているかどうかの判断する基準˜になります。)

1 - un / une - /œ˜/ - /yn/(男性名詞/女性名詞)
2 - deux - /dø/
3 - trois - /trwa/
4 - quatre - /katr/
5 - cinq - /sɛ˜k/
6 - six - /sis/
7 - sept- /sɛt/
8 - huit - /ɥit/
9 - neuf - /nœf/
10 - dix - /dix/
11, 12, 13... 100... 1 000... 100 000... n

数詞の場合は確かに「単数」は「1つ」で、「複数」は「それ以上の全ての数」です。しかし「文法上」の「単数/複数」は、これとは必ずしも一致しません。「男性/女性」と同じく「単数/複数」も「二者択一」で、文章の中で名詞(代名詞も)が使われる時、「単数/複数」のどちらかに必ずなリ,その中間はありません。「単数」は「1つ」と、ある程度一致しますが、「複数」は「2つ」とか「3つ」とかの具体的な数字ではなくて「複数形」1つだけです。

具体的な「名詞」を「主語」とる「3人称」で見てみましょう。ここでは「代名詞  il / ils」を使います。「複数形」で語尾に「別の子音」が付くものがあります。中には「母音がかわるもの」もあります。つまり動詞の種類によって「複数形」で「発音の変化」を「反射的に」できるようにする必要がある訳です。

第1グループ 規則変化動詞 -er を不定詞にとる
発音の変化はありません。
il aime / ils aiment (aimer)

第2グループ 規則変化動詞 -ir を不定詞にとる
il finit / ils finissent (finir) (「複数形」に /s/ がつきます。) 
/fi-ni/ - /fi-nis/
il hait / ils haïssent (haïr)
/hɛ/- /ha-is/ (特殊ですので注意してください。)

第3グループ 不規則変化動詞

子音のつくもの(主語代名詞 ils の次に母音が来ると、s が /z/と発音されます。これを「リエゾン la liaison と呼びます。」
il est / ils sont - /i-lɛ/ - /il-zɔ˜/ (être)
il met / ils mettent - /il-mɛ/ - /il-mɛt/ (mettre)
il part / ils partent - /il-par/ - /il-part/ (partir)

子音が付いて母音も変わるもの
il prend / ils prennent - /il-prã/ - /il-prɛn/ (prendre)
il veut / ils veulent - /il-vø/ - /il-vœl/ (vouloir)

発音の変化しないもの( /r/ が付くものが、これに多く該当します。)
il court / ils courent - /kur/ (courir)
il offre / ils offrent - /ɔfr/ (offrir)
il ouvre / ils ouvrent - /uvr/ (ouvrir)
il meurt / ils meurent - /mœr/ (mourir)


フランス語の l'article (冠詞)で見てみましょう。

les articles indéfinis (不定冠詞) 
「不定」という事は「定(冠詞)」がある事を意味します。これは後で解説します。

単数 un / une - un ami / une amie
複数 des  - des amis / des amies

Un café, s'il vous plaît. (コーヒー、一杯ください。)
 「単数形」は「数詞」の「1」と同じ形です。これが「不定冠詞」になる為には「名詞+形容詞」の組み合わせが必要になります。

C'est un homme intègre. (あいつは、潔癖な男だ。)
 この文では「1人」という事より、話題にしている男の人の「潔癖さ」の方に関心があります。でも「定冠詞」を使って l'homme intègre とすると「あの(有名な)潔癖な男」と「特定の人」を連想させてしまいます。

Tu as des amis au Japon ? (日本に友達いますか。)
 この文では des amis と「複数形」が使われていますが、何人もいる事を想定している訳ではありません。 un ami / une amie を使うと、1人に限定されてしまうので、漠然と「友達」と言う為に複数形にする訳です。

Je suis parti en vacances avec des amis. (友達とバカンスに行った。)
 この文では、具体的に「誰」と行ったかがはっきりしていません。例えば、特定の誰か1人と行った場合でも「複数形」を使うと、それを「隠す」事が出来ます。発音上では des amis / des amies のどちらも(男性も女性も)全く同じですので、性別も分かりません。といっても「嘘」を言っている訳ではないのです。

Il y a de jolies filles en France. (フランスは、きれいな娘がいる国だ。)
Je vois des jolies filles dans la rue. (通りに、きれいな娘が(何人か)いるのが見える。)
 フランス語では、形容詞が名詞の後に付くのが普通ですが、少数ですが、中には「前」に来るものがあります。この時、文脈にもよりますが、des ではなくて de になります。具体的な場合には、des になるようです。

「定冠詞」の「単数/複数」に関しては、また次回に。
by nsato75 | 2009-06-05 10:51 | 文法編
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